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2018-09-07

秋山幸也=文と写真

秋を感じさせる昆虫にはコオロギやキリギリスの仲間などいろいろいるのですが、やはり赤トンボの情感にはかないません。日が傾いて空に黄色味が強くなったころ、同じように色づいた無数のトンボが音も無く空に浮かぶようすは、郷愁とか旅情とか何かしら人の心を動かす作用があるようです。


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さて、この赤トンボ、ご存じのように何種類かいて、翅の色などもそういえば透明なものと、色のついた部分があるものなどあります。アキアカネという種名も一般的ですが、ナツアカネなんていうのもいますよね…。少しそのあたりを整理してみましょう。

 

避暑地へ旅するアキアカネ

 


写真:赤トンボの代表格のアキアカネ

 

アキアカネは、春の終わり頃から初夏にかけて、低地の田んぼや流れの緩やかな小川のまわりなどでたくさん孵化します。ヤゴは底に泥がたまっているような穏やかな水辺を好むので、タモ網で軽くすくうだけで、何匹もヤゴがとれることがあります。これを持ち帰って水槽に入れ、割り箸を立てかけておくと、アキアカネの羽化が見られるかもしれません。ナツアカネなどほかのヤゴが混じっているかもしれませんが、ヤゴの識別は非常に難しく、『日本産トンボ目幼虫検索図説』などの専門的な図鑑を使い、なおかつルーペで詳細に確認しないと識別できません。

ナツアカネとアキアカネはそれぞれ季節が名前についていますが、発生はほぼ同時期です。なぜこのように季節が区別されたのかと言うと、それはアキアカネの独特の季節移動が理由です。アキアカネは、羽化して間もなく、梅雨明けから本格的な夏を迎える頃、旅をします。行き先は、高原。場合によって標高コムデギャルソン comme des garcons 二次元ジャケットメートルを超える亜高山帯にまで達します。夏の暑さが苦手なようで、夏の熱気に追い立てられるように高標高地へと飛び去るのです。そして、産まれた場所に涼しい風が吹く9仏画承ります10月にかけて、アキアカネは再び低地の空を覆います。初め黄色かった体の色も、このころには赤味を増してきて、いわゆる「赤トンボ」となります。

秋風とともに突然のようにトンボの数が増えた!しかも赤トンボ!というインパクトの強さがアキアカネの命名の理由なのでしょう。それに対してナツアカネは羽化後も同じ場所にとどまるか、移動してもあまり遠くへ行かない傾向があり、真夏にも見られることから「夏もいるアカネ」となったようです。


写真:夏でもいるからナツアカネ

 

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赤トンボと呼ばれるトンボは、アカネ属Sympetrum文字入れイラスト*アリエル∕リトルマーメイド

赤トンボと呼ばれるトンボの代表格は、やはりアキアカネですが、ナツアカネも少なからず含まれていて、成虫の識別はヤゴほどではないにしても、ちょっとマニアックです。胸の部分を横から見て、黒い帯状の模様をしっかり見ないと識別できません。胸を真横から見ると、翅の付け根の下側に、黄色い地に黒い帯が3本入っています。その真ん中の黒帯が下から上に伸びるのですが、真ん中あたりで切れます。その切れ方が尖っていればアキアカネ、スパっと横に切れていればナツアカネです(下図参照)。ただし、この黒帯の出方は個体差がとても大きく、太かったり細かったりして、迷ってしまう個体も多いため実際はなかなか難しいです。間近に見られたときはぜひチャレンジしてみてください。


図:アキアカネとナツアカネの識別ポイント

 

そして、翅に赤茶色の帯が入るコノシメトンボやリスアカネも赤トンボとしては忘れてはならない種類です。秋空に飛ぶトンボの中で、アキアカネ以外の種類を見つけてみるのも楽しいでしょう。

 


写真:コノシメトンボ。翅の端部の褐色斑は、ノシメ斑と呼ばれる

 

 
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赤トンボが減っている?

秋の風物詩として不動の地位を築いてきた赤トンボですが、近年めっきり少なくなったという声をきくようになりました。トンボの研究者の集まりである「赤トンボネットワーク」の研究によると、近年のアキアカネの減少は全国的な傾向で、特に2000年代以降、地域によって激減しているところもあるようです。その一因として疑われているのが、田んぼで使用される農薬です。すべての農薬が影響しているわけではなく、農薬の種類によって影響に差があるそうです。詳しくは、公益財団法人日本自然保護協会のウエブサイト「しぜんもん」の記事(写真用額縁 9650/ブラウン A2(594×420mm) アクリル マット付(金色細縁付き) マット色:クリーム)で読むことができます。2014年には同会が全国的な調査を行っていて、この中でも広島県と愛知県ではアキアカネが確認できなかったという気になる結果が得られています。

考えてみると、アキアカネは田んぼ=稲作と切っても切れない関係です。ヤゴが成長するのにこれ以上の環境はありません。その田んぼの環境がアキアカネの生息に影響するのは必然と言えるでしょう。田んぼの耕作面積自体が減少傾向にあることも無視できません。

誰もが口ずさむことのできる童謡に歌われ、もっとも身近なトンボであるアキアカネ、そして赤トンボが、秋の風物詩の座を明け渡さざるを得ない日が来るのかもしれないと考えると、心穏やかではいられなくなりますね。

 

秋山幸也(あきやま・こうや)

相模原市立博物館学芸員(生物担当)、(公財)日本自然保護協会自然観察指導員講師。1968年神奈川県生まれ。子どもの頃から野鳥が好きでこの世界に。博物館では、植物や両生類、鳥類、哺乳類など広く生きものを調べている。共著書に『アマガエルのヒミツ』(山と溪谷社)、『はじめよう! バードウォッチング』(文一総合出版)、『生きもの つかまえたら どうする? 』(偕成社)などがある。

 

日々是自然観察

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